~~~~~~~~次回出演~~~~~~~~

9月13日㈮「神楽坂のソウルフルナイト」<オ・シャンゼリゼ>(神楽坂)
歌:ほさか夏子
演奏<La Maladie D'Amour>pf.Frédéric VIENNOT gt.白𡈽庸介 bs.立原智之


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 おたかさん

6:30の電車に乗り、母と山梨へ。「おたかさん」の最後の顔を母に見させてあげるには、この電車に乗るしかなかった。

母も「おたかさん」も歳なので、どちらかの葬式を迎える前に、ボケてわからなくなってしまう前に、連れて行ってあげようと最近ずっと思っていた「おたかさん」の家。彼女からも「こーし(おいでよ)」と時折電話もきた。寒かったので「暖かくなったら」、暑かったので「涼しくなったら」と先延ばしにしていた私。そういえばその電話も最近きていなかった。

母に訃報を伝えるとそれは驚き、「行く」という。最近は兄弟の訃報を聞いても「遠いからいいよ」と行かなかった母なのに。しかも当日の朝もそのことを覚えていて、「おたかさん」に会いにいくつもりで私を待っていた。5分もすると前のことなど忘れてしまう母なのに。

「おたかさん」は満州で父母を亡くし、幼い兄弟3人を引き連れて戻ってきた。そのとき彼女はまだ12歳だった。彼女は働いた。奉公にも出たりしながら兄弟を育てた。そんな頃からの母は付き合いになる。もちろん戦争に振り回された世代だが、それでもいったい「普通の家庭」なんてあるんだろうか。幻想に振り回されちゃいかん。どこもここも様々な過去を歴史を背負っているのだから。

母は泣いた。その悲しみは住職にも届いたようで、「おたかさん」の娘に「あの方はご親戚ですか?深い悲しみが伝わってきます。」と告げたそうだ。彼女は母が「おたかさん」の訃報を聞いてボケた頭が一瞬良くなったと伝えたらしい。住職は車椅子の母に近寄り、「お元気になられたそうですね。たかこさんが見守ってくれていますよ。」と言ってくださった。なんだかジンときてしまった。

私も「おたかさん」のおかげでたくさんの旧知の顔に逢えた。様々な思いが巡ってくる。写譜の間も、それらの顔が浮かんでは消え、消えては浮かんだのだった。