~~~~~~~~次回出演~~~~~~~~

9月13日㈮「神楽坂のソウルフルナイト」<オ・シャンゼリゼ>(神楽坂)
歌:ほさか夏子
演奏<La Maladie D'Amour>pf.Frédéric VIENNOT gt.白𡈽庸介 bs.立原智之


詳しくはこちらからどうぞ⇒ ほさか夏子のスケジュール

遠く暗い過去に連れ戻されそうになる

白の彼岸花が、黄色のそれよりだいぶ遅れて、今咲いている。
上の放ったらかしにしてあったプランターには、
イヌタデ(だったわよね)がいつの間にか咲きほこっているじゃないか。
今年は庭の手入れをほとんどしていない。
大きな未完了は心にゆとりを与えない、ということか。


昨年末からいろいろあった。
母が骨折した。
そして引越しをした。
あ〜、考えてみれば、それだけか。


母は、アパートのある住人から嫌がらせを受け始めた。
警察も呼んだ。
母だけではなく他の入居者も大変な目にあい、困り果て、
とうとう一人二人と出て行きたいとまで言い出すほどになった。
オーナーは警察、消防、保健所、市役所、相手の親、もちろん弁護士にも相談した。
だが、どうにもならなかった。
私も母はもちろんのこと何度も住人たちの訴えを聞かされ、ほうっておけず署名を集めようとしたが、
そうすることは裁判になった際にかえって不利になるということだった。
打つ手がなかった。
母に引越しを勧め、ようやく母もその気になってくれた。
自転車で5分の距離から、徒歩0分、母の足では3分程の部屋に移った。
元のアパートでは、その後も住人が何度も警察を呼び、
結局最後にはパトカーが精神病院に連れて行ってくれた。
その後しばらくして戻ってきた時には、退去してくれることになり、
こちらのほうはそれで一件落着となった。


引越しは凄まじかった。
母の部屋がもの凄いことになり始めているのには、気がついてはいた。
だが、私の方も凄いことになっているのでそれを片付けてからと思いつつ、
とうとうここまできてしまった。
片付けにはエネルギーがいる。
昭和3年生まれの彼女にはもうそれほどの元気はないのだ、という事に気づくのが遅すぎた。
物が増えて、もうとうに彼女の手には負えなくなっていたのだ。
物を捨てられず、とっておく。とりあえずこっちに、とりあえずあっちに。
それらが二十年近く積もっていった。
ご丁寧に、台所から出る油と煙草のヤニの合成皮膜で焦げ茶色にしっかと覆われて。
捨てられないのはまだわかる、私もそれに苦しめられているから。
しかし、そのうえゴミまで拾ってきていた。
ソファーだの、カラーボックスだの、あれやこれやがいつの間にか増えていた。
中は畳が見えないほどだった。
鼠と一緒に暮らしていた。
もうこれ以上は言うまい。
自分の不甲斐なさに落ち込んだ。
一つ片付けるたびに、暗澹たる気持ちになった。
それも持っていくと言う少しボケ始めている彼女に、そのたびに説得するのにも疲れ、
とうとう叱り飛ばす始末だった。
少し片付けただけで頭はもうぼーっとしていまい、何も考えられない状態になった。
家に帰れば、「ご飯」とせっつく夫。
夜、自宅と母の新しい部屋を往復している時に閉め出されたときには、キレた。
もちろん「うっかり」なんだが、鍵をかけられ絶望まで感じてしまった。
私の心に悲しみを幾重にも積もらせ固まらせてきた、夫と母との軋轢も私の心に拍車をかけた。
なんでこんなヤツと一緒に暮らしているんだ?
まあ、そういう時はもう泥沼である。


引越しの日、雪がちらついていた。
そんなこんなで片付けは終わっていなかった。
とりあえず必要な物だけを運んでもらうことにした。
6畳二間K付から1ルームへの引越し。
本当に必要なものだけのはずなんだが、新しい部屋はすぐ荷物でいっぱいになった。
とりあえずの引越しは終わった。
その後は市役所だの、事務的な作業をし、一段落となった。


昔の部屋は嫁入り先の持ち物だった。
ゆっくり片付ければいいからねと言ってくれてはいたが、
早く片付けなければならないのは重々承知だった。
しかしなんと、今日が、その後の片付け一日目だったのである。
コンサートがあるから、梅雨だから粗大ゴミが出せないから、暑いから、
写譜が忙しいから、歌の仕事が固まっているから、・・・なんて情けないんだ!
まあしばらくの間はね、上の例の住人が引っ越さなければ、
母の部屋が空いたところで新しい人を住まわせるわけにもいかなかったから、
言い訳もできていたんだけれどね。
さすがにもう義父母の堪忍袋の緒も切れそうで、
私の心もどうにも落ち着かなくなってきたというわけだ。



部屋に入ると、またあの状況が甦ってきた。
胃が重くなる。
ベランダの端の物入れはまだ手付かずだった。
開けると、そこはまさにあの状態のままだった。
また頭がぼうぼうとし始める。
台所の掃除たるや、いったいどれだけ時間がかかることだろう。
母の絵の道具等、残った荷物も運び出し、なんとか新しい部屋に押し込めなければ。
さて何日かかるか、いや何週間かかるか。
さきほど、ネットで粗大ゴミの収集の手続きをした。
引き取りは2週間後。
しかし、一度に申請できる点数が決まっているので、もう一度手配をせねばなるまい。


私にとっては、遠く暗い過去に連れ戻されそうになる、つらい日々がまた始まった。