もうひとつ、チョコの話題から。
これは「ひめ」がくれた苺のチョコである。
まるごと乾燥させた苺がホワイトチョコで包まれた、
韓国のお土産。
彼女は以前、私の仕事部屋のある棟の
西端の部屋を借りて住んでいた。
初めて逢った時、とっても可愛らしくて、清らかで、
目の前に天使が現れたんじゃないかと思うほどだった。
そして確かこう言った。
「朝鮮民族の中国人です」・・・いや
「中国人で朝鮮民族です」だったかな。
ちっとも気張ってなんかいなくって、
なんだかとても新しい、爽やかな感覚をくれた。
そっか、これいいな、
多民族国家の中で己が属する民族をちゃんと主張する。
肩肘張らずに、それが当たり前のことのように。
そうよね、無理に一くくりにしようとしなくても、
民族はあちこちに散らばっているわけだし、
そういう意識の人々で構成された国家ならいいな、って。
ま、それはともかく・・・。
彼女はエライんだ。
日本に留学した当初は、昼夜アルバイトをしていたのだという。
ここに住んでいた時はさすがにバイトは一つにしていたが。
学費や生活費全てを賄い、さらに仕送りまでしていた。
そして2年前だったか、東大の大学院まで進学したんだ。
今は東京の東の方に住んでいるが、
近くに来た時は顔を見せに寄ってくれ、私の誕生日にはかかさずプレゼントも届く。
でもね、
初めて逢った時のあの曇りのない本当に清清しい表情が、今はない。
それは、少女が大人になったという違いではないのは、私にはわかる。
私たちが、この国での生活が彼女の羽を傷つけてしまっているのだとしたら、
とても悲しい・・・。