~~~~~~~~次回出演~~~~~~~~

9月13日㈮「神楽坂のソウルフルナイト」<オ・シャンゼリゼ>(神楽坂)
歌:ほさか夏子
演奏<La Maladie D'Amour>pf.Frédéric VIENNOT gt.白𡈽庸介 bs.立原智之


詳しくはこちらからどうぞ⇒ ほさか夏子のスケジュール

 ありがとう

ティコティコさまからコメントを頂いて、いろいろと想いは巡り、
そして、お世話になったたくさんの人たちを思い出しました。
巴里で私の心を癒してくださったあの女性と旦那さまは、
今はどうしていらっしゃるんだろう。


家出をしたことがあった。高校生のとき。
あてもなく、だがはっきりと西をめざして。
列車を間違え伊豆半島をぐるりと周ってしまい、戸田の民宿で一泊。
そして京都に着いた。
駅で探した女性だけが泊まれる宿屋の大部屋へ、素泊まり。
そこは山田五十鈴の別邸だったらしい、綺麗な宿だった。
金がないから、食事は喫茶店のモーニングセットだけという日も続いた。
そして歩いた。歩いた。歩いた。
赤ん坊の頃母と暮らしていたらしい場所を、訪ねたりもした。
あれは寂光院だったか、ぽつんと正座していた私に住職が話しかけてきてくれた。
けれど、どうか悩みを聞いてくださいと喉もとまで出てきた言葉を呑んでしまったり。
頭の中に何かを飼い続けたまま日は過ぎ、財布の中身だけが消えていく。
このままここに居続けようかと、喫茶店のアルバイト募集の張り紙を探し中に入り、
けれど結局何も言い出せぬままコーヒーを飲んで出てきたこともあった。


とうとう、家へ戻る交通費だけになってしまった日が来た。
そして偶然にもその日の朝、同室の一人から声をかけられた。
「今日東京へ戻るんだけれど、一緒に帰らない?」
人とは挨拶程度の会話しかしていなかったのに、
きっと何かを察してくれていたんだろうと思う。
それで決心したのだった、帰ろうと。


名前も覚えていない。住所も聞かなかった。
帰りの車内でも身の上話をした記憶はない。
寡黙な私に、あたりさわりのない世間話をしてくれた。
とても優しいお姉さんだった。
もしあなたがあの時声をかけてくださらなかったら・・・。
「ありがとう」
偶然にもあなたがこのブログを読んでくださる、
そんな奇跡はおきないものだろうか。


家には、学校側の騒ぎにもめげず、
ひたすら私を信頼し待ち続けていてくれた母がいた。