~~~~~~~~次回出演~~~~~~~~

9月13日㈮「神楽坂のソウルフルナイト」<オ・シャンゼリゼ>(神楽坂)
歌:ほさか夏子
演奏<La Maladie D'Amour>pf.Frédéric VIENNOT gt.白𡈽庸介 bs.立原智之


詳しくはこちらからどうぞ⇒ ほさか夏子のスケジュール

 イッパ

「ッパ」がつくのはナッパ教の権現名であるが、このありがたい名前を教祖から拝受されたのは、わが家の新参者のセキセイインコである。そうなのだ、セキセイインコを買ったのだ。オークンがいなくなってからというもの、鳥籠も主をなくして寂しげであり、また大量の餌も行き場をなくして困っていたからである。


近所のペットショップへ見に行った。あまりの雀の可愛さから絶対フィンチにしようと思っていたのだが、あいにく手乗り用はセキセイインコだけであった。しかも去年からの売れ残りのようで、もうだいぶ羽根も生え揃い自力で餌もつつけるまでに成長していた。しかし、欲しいと思ったらすぐさま欲しい私なのである。元気そうに餌をおくれと騒いでいるのは、過去の経験からいたずら坊主になる可能性大なので、やめておいたほうが無難だ。一匹、皆から離れて佇んでいるやつに目がとまった。空色に黄色が混じった、縞々模様の目立たぬ綺麗な鳥だ。手に乗せてみた。乗せたらもう決まりだね、「可愛い!」と心はその鳥に釘付けになってしまう。「これください。」


家に帰り、さて名前を何にしようかと夫と相談した。
「やっぱり、ついオークンって言ってしまうから、オークンでいいよ。」と夫。
「それじゃぁ、オークンのことを話すときは何て呼ぶの?」
「先代かな。」
「そんなのごちゃごちゃになっちゃうよー。」
「・・・、じゃあ、イッパチは?」
「なにそれ」
「1800円だったから、イッパチ。」
「ひど〜。」
なんと1800円+消費税だったのである、安〜。しばしもめたが、結局オークンと呼ぶことになった。


ところがである。ずいぶん成長していたので、人間から餌を貰ったのはたった一日だけであり、その後は飛びまくって、手に乗せようとしても嫌がるようになってきたのである。二、三日はそれでもよかったが、だんだん摑まりづらくなってきた。手をだすと「ゲッ」とよろしくない声を出し逃げる。しかも逃げて飛ぶ他はただじぃ〜っとしていて、感情表現もほとんどなし。まぁ、まだ子供だから学習もあまりしていないし、仕方ないといえばいえるのだが。オークンと呼ぶたびに、先代を思い出し、悲しくなってきてしまった。雀のオークンのときは「可愛いねー。いい子だねー」と何十回も心から言えた毎日だったから。


「ねぇ、<オークン>はやめよう・・・」と私。
「んじゃ、イッパチだな。」
「イッパはどう?」
「松宮さんを思い出しちゃうよ。」
松宮さんとは、歌手で松宮一葉さんといい、カズハなのだがイッパさんとも呼ばれている。
「ハッチャンは?」と夫。
「初枝さんを思い出しちゃうなぁ。」
やはり歌手の加藤初枝さんのことである。
またしばらくもめたが、私はイッパでいこうとこの時決めたのだった。


「イッパ」と声をかける。権現名なのだと思えば私自身の気持ちも安らいでくるし、インコが天の使いにも思えてくる。人間なんていい加減なものだ。でも思い込みは結構重要なのだ。心が通い合うには長い付き合いがいるとは思うが、よろしく頼むよ、イッパ。ちなみに夫はまだイッパチと呼んでいる。ま、いっか。


その後、イッパはとうとう風切羽根を切られてしまった。このままじゃ一向に慣れてくれないと、業を煮やした私によって。初めてだった。十姉妹にも文鳥にも、小桜インコにもオカメインコにも、もちろん雀にも、そんなことはしたことがなかった。はてさて、イッパとの付き合い、どうなることやら・・・。